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ひとひらの自由



心の底から願うこと
切ないほどに
強く、つよく
それは、とても簡単なこと



「いただきます」


謎を目の前にした彼は、とても礼儀正しくなる。
頭部は魔人そのものになり。
普段の横暴さが鳴りを潜める。


(そんなに美味しいのかな)


食に対する執着は、よく理解できる。
理解できるからこそ、気付いてしまった。
謎を求めて、ここへやってきた彼。
魔界とここの謎の質は根本から違うのだろう。
ここは、ヒトとヒトとの関わり合いで、何かが生まれるところ。
始めはそれを理解できなかった彼は、次第に、それを理解することこそが必要だと感じ始めた。
それこそ、彼の意識のなかで、何かが変わったということ。


(日付が変わったのは、ネウロも同じ)


ヒトの可能性を期待し始めた姿に、ほんの少しだけ不安になる。
魔人としての彼の存在意義が、崩れ始めているのではないかと。
ヒトに、何かを求める魔人なんて。


(ネウロは、ネウロであればいい)


他のなにものにもなる必要は無い。
どれだけの暴力を振るおうと。
どれだけの被害を被ろうと。
彼は、彼でしかない。


(私が私でしかないように)


変化がなければ、ずっと一緒にいられるだろうから。
変化してしまえば、もう一緒にはいられないから。


(ネウロ…どうか、気付かないで)


痛みと共に味わう、この想いに。
甘い痛みに。
だから、今の私が心の底から願うこと。
切ないほどに、強く、つよく願うこと。
それは彼が、満たされないこと。


(これ以上、心を奪わないでほしい)


他のことならばなんでもする。
彼が必要だと思うことは、何でも。
だから、想うことは、自由にさせて欲しい。
たったひとつの、願い。


(ネウロ)


どうかこの場所は、誰にも渡さないで。



【Fin.】



後書代わりの戯言


初ネウロですね
ネウロ←ヤコです


書いていて非常に楽しかったことを覚えています
この二人は本当に、本当に…楽しいです!
(それしかないんですけど)


よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いですv


web clap


2008/09/19 Wrote
2008/10/01 加筆修正
2008/01/01 UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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