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届かないソラ



かつて
同じ空を見
同じ道を歩み
同じ想いを抱いていた
もう、遠い過去だけれど



感じは良いけれど、何を考えているか分からない青年に、同居人の少女が攫われたのは数刻前のこと。
顔を合わせればいつも喧嘩ばかりしているから、それほど心配もしていないけれど。
それでも、少女が文句も言わずに、ついていったことが意外で。
ほんのすこしだけ、淋しいと思うのは、多分保護者だからだ。


(星海坊主に頼まれてっからなぁ…)


傍にいられない父親の代わりに、見守ること。
怪我はしてもいい。
喧嘩もしていいだろう。
ただ、心が傷付くことの無いように。


(まぁ、ヤツなら大丈夫だろうけど)


真選組の中でも、随一の剣の遣い手。
感情の起伏が不安定で。
思考回路が不明で。
楽しいことが何より好きで。
人を痛めつけることも何よりも好きで。
その分、とても打たれ弱くて。


(そういう意味では、ウチの神楽と合うんだろうなぁ…)


「ただいまアル」
「おぅ、お帰り…ってどうしたんだよ、裾に血が……っ」


青い瞳が冷たく、凍る。
それ以上何も言うなと。
こういうときの少女には、何を言っても何も返らないことを、よく知っている。


(付き合い長いもんな)
(でもこれは裾の血というよりも、むしろ踝の…)


思い当たる節が、ある。
よく様子を伺うと、動きが鈍い、ようにも見える。
足も少しだけ、引きずっているようにも、見える。


(…ドコまで行ったんだか)


溜息が漏れる。
それを聞き咎めたのか、少女が振り返る。


「…なんだよ」
「別に。寝るアル」


少女の、振り返らない姿に、少しだけ淋しく感じるのは、感傷なのだろう。
遠い昔に、共に戦い、離別を選んだ時と、同じような。
あの頃の同士たちとは、最近になって再会をした。
けれど、時間はあの頃のままではなく。
道は離れていき。
一瞬の交わりだけが現実で。
あとは、離れていくばかり。


(アイツも、いつかは離れていくんだろうな)


その時はどうか、一人ではないように。
孤独ではないように。
傷付くことが、ないように。


ただ、願うだけ。



【Fin.】



後書


やりました!
書けましたよ、保護者な銀時!
あぁ。。。こういうの書いてみたかったんですよ♪


あ、あの、ひつじ先輩、こんな感じでいいでしょうか?



2007/10/17 Wrote
2008/02/11 UP
2008/03/17 再UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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