いつも、ふざけたところしか見たことがなかった
あんな眼をしていたなんて
まるで、鏡を視ているようで
吐き気を覚えた…
――あれは、血を、求め、餓える瞳
* * *
夏日。
陽が真っ向から攻撃してくる昼。
それでも飽きずに懲りずに散歩を続けるのは…。
「…暑いネ」
傘をくるくると回し、向うのはいつもの公園。
いつものベンチに足を向けると、そこには先客がいた。
口を開けば悪態をつき。
視線を交わせば睨み合い。
その後決まって、刃を交わす。
(…サボリ魔)
(給料泥棒)
(シスコン)
(ドS)
(柵に縛られた役人)
心の中だけで呟く。
最後のは悪口にさえならないかもしれない。
単なる事実だ。
その事実に、心が痛むなんて。
(気のせい、アル)
けれどあの日。
彼らが仲間に裏切られた、あの日。
刀を振るい、血の雨を降らせながら。
彼自身もまた、泣いているような、気がしていた。
(泣けばいい)
(叫べばいい)
本心を、告げればいい。
他の誰に言うこともできないのなら。
自分が、受け止めるから。
(だから、もうあんな瞳は見せないでほしい)
叫びたくなるような。
吐き気を覚えるような。
自分によく似た。
(餓えた瞳)
それは魂が餓えているのだ。
戦い、血を流すことで己の存在を確立する。
けれどそれで満たされることはない。
永遠に、乾きはなくならない。
(贅沢、アルネ)
自分がその距離を縮めるつもりがないのに。
相手に歩み寄ってほしい、などと。
(…途方もない夢アル)
だから今は。
せめて、今は。
「…バカは放っておくに限るネ」
踵を返し、その場を離れる。
くるくると、傘を回しながら。
――背中を刺すような視線に、気付かぬ振りで。
【Fin.】
後書代わりの戯言
今回の作品は、先日アップした沖神SS、
『塗り潰された想いと遠ざけた光と』の対になるように書いたものです
つもり、ですが…沖×神というよりは、沖←神のような…(苦笑)
ここのところ銀魂の更新が続いているのは、かずは様の素晴らしいイラストのお陰です♪
そして、単行本も買ってしまいましたからねぇ…
11月にはもっと熱に浮かされるだろうことは容易に予想がつきますので、
今のうちに他のジャンルを書き溜めておこうとおもいます…ι
今回も、イメージの元となるイラストがあります。
【読書とジャンプ】を更新されている、むらきかずは様の描かれたイラストです。
こちらを見て頂けると、より一層愛が深まるのではないかと思います。
色付けをされたのは、水稀様です。
むらきかずは様
読書とジャンプ
宜しければ感想等頂ければ幸いです!
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web clap
2009/09/05 Wrote
2009/09/08 UP
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