空を見上げていた。
身体は重たく。
どれ程の血が流れ出たか知れない。
(あぁ、晴れてる…)
ぼんやりと思う。
酷く静かな心地で。
酷く泣きたい気持ちになった。
「…死んでいるの?」
ふ、と影が落ちたかと思うと、声が降ってきた。
視線だけ上げると、そこにはじっと自分を見つめる幼い少女がいた。
強い瞳。
きゅっと閉じられた唇。
黒く艶やかな髪。
(将来は美人になるだろうな)
あぁ、自分のしていたことは誤りではなかった。
こうした、幼い子供が、健やかに未来を紡げるよう。
流した血は、誤りではなかった。
(なぁ、俺のこと、莫迦だと思うか?)
心の中だけで問いかける相手は、もうここにはいない。
散り散りに別れたのは、いつのことだったか。
「ねぇ、返事くらいしたらどうなの」
驚くほどしっかりとした声だ。
この年の子供にしては似つかわしくない。
まるで、遠い日の自分たちのように。
大人になることを早くに求められた、とても、脆い存在。
それが愉快で、起き上がる。
「驚かせたか」
「…いいえ」
少女の凛とした答えが妙に気に入って。
ふと目に入った花を一輪、手折り、差し出す。
「…なんですか」
「ん? 心配してくれた礼だよ」
柔らかな花を受け取る為に、そっと伸ばされた手が少し震えていることに気付いた。
けれど表情は固いままなので、見なかったことにする。
(本当は…)
心に芽吹いた疑問を口には出さず、花を手に微笑む少女を見つめる。
この笑顔の為に刀を振るうのならば、本望だろうと。
その為ならば、この身がどれ程血に染まろうと、後悔はするまい。
(ありがとな、お嬢ちゃん)
手を振り、別れる。
少女もまた、何も言わず。
手を、振り返すだけ。
お互い、さよならは告げないまま。
【Fin.】
後書代わりの戯言
久し振りの銀魂ですね
…久し振りどころじゃないですね
一年以上経ってますね…ι
今回の作品、銀魂モノとしては初めて、イメージの元となるイラストがあります
【読書とジャンプ】を更新されている、むらきかずは様の描かれた、【花〜白妙〜】です
正確には、かずは様が描かれたイラストに、【サクラバコ】のハコ様が色付けされたイラストが元になっています
こちらを見て頂けると、より一層愛が深まるのではないかと思います
むらきかずは様 読書とジャンプ
ハコ様 サクラバコ
予想以上に楽しかったので、またこんな機会があったら書いてみたいものです
かずは様、ハコ様、宜しいでしょうか…?(どきどき)
宜しければ感想等頂ければ幸いです!
web clap
2009/07/29 Wrote
2009/07/29 UP
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