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In The Dark…side:K



うつくしいはなを、みた



血の匂いと
闇の静寂
それだけが、意味のあるモノだった

出逢ったときから気にかかっていた。
いつも微笑む、姿。
AKUMAに呪われているくせに。
同じように自分以外のモノに囚われているくせに。
自分の為だけに自分が存在することなど、考えもしない。
常に、誰かの為に動き、感情を動かす。


(苛々する)


細い躰で。
強い心で。
同じような状況で。
どうして、彼と自分は違うのだろう。
微笑むことさえ忘れてしまった自分と、何もかもが違う。
何が、彼を支えているのだろう。


(支えなら)


自分にもある。
美しい花が。
花弁が。
自分を支えている。
遠い約束と共に。
命の期限を知っても、手離すことの出来ない。


(ああ、それか)


何を捨てても、手離すことの出来ない。
命よりも、自分よりも、大切なモノ。


(それなら、わかる)


理解はできない。
きっと、一生。
彼の心の望みなど、わかりたくもない。
でも、判ることは、できる。


(闇の中、見ているものは、同じモノかもしれない)


望んでいるモノは、光。
見詰めているモノは、闇。
どれだけ眠りの中にいても。
幾度目覚めても。
失せることの無い、願い。
願いは既に自分と言う存在と同義となり。
それが、いつか、生きる目的になる。


(虚しい)


応えの返らない生は。
とても孤独で。
耐え難く。
けれど、誰かに代わってもらうことなど決してできやしない。
わかりきっているのに縋りついてしまうのは。


(弱さなんかじゃない)


それは祈り。
それは願い。
それは、強さ。
いつか理解できる日が来るのかもしれない。
彼が、闇から抜け出し。
再び黒の教団に現れた時に。


(見届けてやるさ)


あのままの彼のままで。
生き続けることができるのかどうか。


(残された時間が、間に合えばな)


闇の中、光を負う姿を。
うつくしいはなのように広がる、光を。
目にすることが叶うのならば、その瞬間を。



【Fin.】



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2008/03/17 再UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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