いつまでも忘れられない光景がある
蒼色の空
紅色の大地
闇色の涙
そして、哀しいほど透明な、心
† † † †
その瞬間を永遠と呼ぶのならば。
それでも良かった。
愛している者を手にかけるよりも。
愛している者の手にかけられたほうがずっといい。
『アレン…愛しているぞ』
そんな結末を望んだわけではない。
ただ、もう一人になりたくなかっただけ。
(マナ…)
大切な人を失うと、どうしても臆病になる。
次の一歩を踏み出すことが出来ない。
黒の教団に入ったことでさえ、誰かに背中を押されて。
いつだって、誰かの為に、動いていたから。
自分で、何かをする理由さえ思いつかなくて。
(生きていて、いいですか)
自分は、本当に生きていていいのかどうか。
縋りたくなる。
何処かに。
誰かに。
『アレン…』
優しい声が降る。
断罪の為ではなく。
赦しの、声。
(前に、進むしか、ない)
どれだけの距離でも。
どれだけ重荷を負っていても。
ただ、前へ進む。
あの高みへと、いつか届くように。
【Fin.】
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2008/03/17 再UP
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