Index  Menu  Main  Novel(SAIYUKI)  Novel(WJ/GAME)  Novel(etc) 

ナイフ



外の天気のように
荒れ狂う、心



あの瞬間、黒幕が誰だったのかなどと言うことは問題ではなかった。
問題なのは、裏切られていたと知った瞬間の、アイツらの表情。


「……っ」


それを見て、思い出した。
ちょうど修行と称して、浦原商店の地下に篭っていた頃。
何度と無く目にした、浦原喜助の目。
裏切られて、裏切って。
それでも、どうしても大切なものを捨てきれずに。
嘘を重ねて。
誰にも弱音を吐くことさえ許されずに。
そのまま、後悔だけが、鈍いナイフのように心を切り裂いていて。
真実を告げてしまえば、きっと楽になるのだろうに。
秘して、自分で抱え込んで。


(馬鹿だ)


人を信じることは容易くは無い。
信頼も、信用も。
捧げるほどに、相手を神聖化し、そして、心は弱体化する。
裏切られたと傷つくのは、相手に心を捧げているからだ。
彼らは、同じように藍染隊長だった男に心を捧げていたのだろう。
きっと、今も同じだろう。
信頼して、信用して、裏切られて。
突きつけられたナイフを避けられず。
ただ、受け止めて。
傷を負って。
血を流して。


それでも、立ち続けなければならない。
涙を、隠して。



【Fin.】



後書


BLEACH・尸魂界編のラスト、ですね
一護の視点から書いてみましたが、伝わりにくいですね。。。
久し振りに書いた上に、単行本は段ボールの中なので
口調が確認しづらい。。。(どきどき)


そういえば8月に新刊がでますね
楽しみ楽しみ。。。



2007/07/15 UP
2008/03/17 再UP



Back
7-mori eyelid (©) Midori Yuki
inserted by FC2 system