甘い香りのそれに
意味があるのかどうかなんて
考えなくたって、わかるだろう?
◇ ◆ ◇ ◆
甘い香りに、眩暈を覚える。
けれど、酔うわけにはいかない。
「なにが、いいかな」
ショーケースに並べられた、宝石のようなお菓子。
有名なブランドのものには、やはり女性たちは大勢いる。
「すご…」
(チョコって、黒だけじゃないんだ)
試食をどうぞ、と言われるままに差し出されたチョコを口にする。
広がる甘さ。
けれど、しつこくない、滑らかさ。
(これなら、食べてくれるかな)
今年は、彼が留学中なので当日は一緒に過ごすことができない。
これは寧ろ、今日一緒に食べる為のもの。
「あ、時間だ」
時計を見ると、約束の時間まであと30分になっていた。
吟味した結果、甘さの控えめなミルクチョコレートを選び、包装してもらう。
イヤホンを外し、彼のもとへ向かう。
耳たぶに残る微かな重みは、昔の約束の証。
大切な、大切な、宝物。
【Fin.】
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かなり今更ですが、バレンタインのSSです
こちらはお持ち帰り自由にします
ちなみに、チョコ売り場の甘い香りに酔いそうになったのは実話ですι
甘いの苦手なんですよね。。。
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作成:2006/02/17
HPUP:2006/05/28
HP再UP:2008/03/11
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