Side:Goku-1
いつ頃からか
あの暁の瞳の奥にあるかげりに
安らぎを与えてあげたいと
そう思うようになった
それは初めて意識した
――偲ぶ想い
◇ ◆ ◇ ◆
今日は彼の周りが騒がしい。
普段は余程の用事がない限り彼の机の周りには、クラスメイトは近付かない。
なのに、今日だけ。
(いまさら、だ)
彼の周りには、それでも人は絶えることはないから。
自分のようにうわべだけではない。
彼を慕う者があまりにも多いので。
時折少しだけ淋しさを感じる。
我侭なのはわかっているけれど。
心が痛い。
物思いに耽っている間に、彼の机の上には可愛らしくラッピングされた包みが山となっていた。
(無表情だよな)
でも内心ひどく困惑しているのがわかる。
瞳が。
朝焼けの瞳が、困惑の色をにじませながら、なにかを捜すように辺りを見渡ている。
視線が、絡み合う。
そらせない。
彼女たちに嫉妬するのは間違っているのだ。
なにも、告げていない。
なにも、始まっていない。
ただ、見つめているだけ。
視線を交すだけ。
それで満足していたのに。
それだけで物足りなくなったのは、いつ頃からだったか。
あの瞳の奥にある切ない光が。
欲しいとさえ、思う。
彼女たちの願いは純粋で。
とても、わかりやすい。
自分は彼には近付けない。
これ以上望むことは、きっとお互いにとってよくないものだ。
見えない未来がそこにはある。
だから、この想いは偲ぶもの…。
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