Index  Menu  Main  Novel(SAIYUKI)  Novel(WJ/GAME)  Novel(etc) 

月の砂



あの日から
徐々に言葉を忘れていく
人と、どんな風に会話をしていたか
どんな風に接していたのか
少しずつ、忘れていく


掌から零れる砂のように


始めは些細なことだった
言葉を向けられて
咄嗟に返すことができない
その程度のズレだった
次第に掛けられた声が聞き取りづらくなり
言いたいことを言葉にするのが苦痛になり
伝えたいことを胸の内に閉じ込めたまま
言葉を、失っていっていた


一人でいても
一人ではない
それが苦しくて堪らなくて
こうして、なにもかもがどうでもいいと
そんな風に感じるようになるのだと
他人事のように思い始めていた


自分の命に価値を見出だせない
自分の存在に意味を見出せない
今は、何もかも忘れて
何もかもを手離して
ただ、深く眠りにつきたい…



【Fin.】


------


月シリーズの番外編を久し振りに書いてみました
あ、月シリーズとは、M川様のところで連載中の(現在停滞中ι)
記憶喪失現代パラレル三空・浄八モノです
延々番外編ばかり書いていたシリーズでしたが
漸く本編突入!というところで更新が止まってしまった物です
。。。これから新作はこちらに先行アップしても良い、との了承を得ましたのでこちらにアップしていきます
。。。過去の分、どうしましょうι



------


2008/03/14 再UP




Back
7-mori eyelid (©) Midori Yuki
inserted by FC2 system