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願いを胸に


心に刃を


秘めて、隠し通す


――生涯




「あ、雪だ」


言われるままに窓の外を見ると、暗い雲の合間から、白い雪が舞い降りていた。
きらきらと金色の瞳を輝かせて空を見る悟空を観察する。
この少年とこの寺院に来てから丁度半年が過ぎた。
随分慣れてきたものだと思う。


ここへ来た当初は猜疑心に身も心も固め、周囲から孤立していたものだったが。
こんなにも明るい表情見せるようになったのは、なにが原因だったのだろう。
なにが必要だったのか。
わからない。
まだ外を見続ける少年から視線を外す。


ふと、思い返す。
この寺院へ留まるようになってしばらくして、公務で長く離れていたことがあった。
あの後からだ。
あの後から、悟空の様子が変わったように思える。
何かを思いつめたような。
何かを決めてしまった、瞳。
一途な。


「...ばかな」


ありえないことだと、頭を振る。
どれだけ生きていたか知らないが、まだ幼いはずだ。
まだ、何も知らない。
自分に言い聞かせる。
それはまだ、知りたくないだけなのかも、しれない。
この胸の痛みに。



【Fin.】



後書
なんともお正月らしくもない新作SS第2弾です。
そして、新シリーズだったり...しますι
【絆】の三蔵Verです。
これもどこまで進むのか...疑問です。


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2008/03/10 再アップ



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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