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I Want It That Way



例えばそれが
永遠の別れを意味するのだとして
止められるようなものじゃないだろう?




手を取ったのは、特に理由なんかない。
ただ、欲しかっただけ。


「三蔵」


深夜、月明かりの元、彼を見つめる。
ごめんね、と囁く言葉は、きっと届いていない。
自分は、自分だけのエゴで、彼の手を取って。
そうして、彼を、引き摺り堕とした。
自分の元へ。
彼は、とても高いところに在ったのに。


「ごめんね。それでも、好きだよ」


囁く言葉は、届いてはいけない。
永遠に、封じるべきもの。
彼が見つめていたのは、自分であって。
それでも、本当の自分ではない。
分かっている。
けれど。


(この温もりを今更手放すことなんてできないんだ)


どうか、覚めないで。
どうか、言わないで。
どうか、…傍にいて。



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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