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あめのなくこえ



心に焼き付いた、笑顔
さよならの代わりの口付け
私は泣けないから
あんたの涙は、嬉しかったよ



「お前は、残らなくてよかったのか」
「…いいんだ」


いつまでも彼を見つめていた。
彼が、うずくまって。
慟哭をあげても。
遠く、とおく離れてしまっても。
小さくなって、もはや影も形も確認できなくなっても。
いつまでも、見ていた。
涙なんて流さなかった。
そんなことをして、彼が見えなくなるのなんて御免だった。
生まれて初めての口付け。
そして、最期の。
こうした生き方を悔やんだことはなかったけれど。


(もう少しだけ、一緒に居たかったよ)


「いいか」
「…うん」


馬車が速度を上げる。
松明を手にした腕が、下がる。


(……悟空)


妖怪であることを後悔したことはない。
人間であればなどと望んだこともない。
この存在であるからこそ、出逢えた奇跡。


(悟空)


煙が充満し、炎が燃え広がり。
そして、…。



【Fin.】


後書


8巻ネタで書きたい、とは言ったものの、
こうした展開になるとは夢にも思わず。。。(焦)
えっと、これは多分三蔵一行Ver.も書くと思います
(でないと救われない・泣)
でも私は、この女の子が大好きでした
お約束のシーンも見られましたし(笑)


久々の原作モノです
宜しければご感想をお願いします。。。!(切実)


2007/06/16 Write
2008/03/11 再UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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