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Swearing:Goku



明るく振舞っているからといって
傷つくことを知らないわけではない
そんなのは欺瞞だ
痛みを知らない人間なんて、いない



ねえ、と呼びかける。
知っていた、と。


「知っていた?」
「なにをだ」
「真実を」
「――なんのことだ」


悟浄のことは、大切な仲間だと思っていた。
今でも、大切に思っている。
でも、それ以上に大切な存在が自分にはいるのだ。
紫暗の瞳…美しく、光溢れる存在。
彼さえいれば、他の何者もいらない。
強く、激しい想い。
こんな想いを、きっと彼は知らない。


「俺、三蔵が好きだよ」


だから忘れないで。
なにがあっても。
どんなことが起こっても。
きっと、最期までついていくのは、彼だけ。
導く金色の光さえあれば。
自分はもう、なにもいらない。


「――そんなこと知っている」


意外な言葉だった。
優しい彼は、嘘は告げない。
ということは、知っていたということは、真実なのだ。
自分のこの想いを。


「嘘」


小さく、笑む。
恐らく微笑みにすらならなかっただろう。


「なぜ、嘘だと」


視線を上げて、しっかりと合う瞳。
逸らすことさえ許されない、強さで。


「…三蔵は知らないくせに」


彼から視線を逸らすのと、彼の深いため息は同時で。
気づいたときには思いがけないほど近くに、紫暗の瞳があった。


「三蔵」
「俺が、なにを知らないって?」


低い囁き。
伝わる温もり。


「お前が知らなさすぎなんだよ」


強い抱擁と、深い口づけ。


「三蔵」
「なんだ」
「――好きだよ」


それに対する返事はなく、息をつかせない口づけが苦しい。
苦しいけれど、幸せ。
彼は、自分にとって絶対者だから。
だから、なにをされてもいい――…。



【Fin.】



後書


苦節1年…やっと、自分のサイトでアップが出来ます
放置状態ですみませんでしたι



2008/03/20 UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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