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Swearing:Gojo



不思議なほど穏やかな日々
有り得なかった筈の幸福
本当にいいのだろうかと不安を覚えるのは
まだ信じきれていないから…



夢をみた。
暗い、真紅の夢。
深いふかい、深紅の夢。
これが夢だと自覚していてさえ。
抜け出せない、痛みの残る暗闇。
本当はもう、これこそが現実なのではないかと。
幸福な今など有り得なかったのではと。
夢のなかで不安を覚える。
大切な人も。
想いを交わしあったことも。
未来を誓ったことも。
目覚めた後もその不安は消えなかった。
激しい動悸がなかなか収まらない。
煙草を吸えば気も紛れるかと、手を伸ばした時に、隣りから柔らかな声がした。
悟浄、と呼ぶ、柔らかな優しい声が。


「どうしたんですか、悟浄。眠れないんですか」
「八戒…」


ああ、こちらが現実だ。
夢は夢に過ぎず。
過去は過去でしかない。
自分には今、彼がいる。
傍らで見守るような眼差しで。
なにも言わなくとも赦されるような。
安らぎがある。
本当に欲しかったものは、こういうものだったのかもしれない。


「…ヤな夢見てさ」


それだけでいい。
今までのように溜め込むばかりでなく。
こうして伝えることも必要で。
そういう相手がいるということがどれほど恵まれているか。
救われているか。
いつか、教えてやりたい。
今はまだ照れ臭くて言えないけれど。
逢えてよかったと。
出逢い、想いを交しあえて、よかったと。
心からそう思っているから。
ありがとう、と。



【Fin.】



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これでSwearingシリーズは完結になります
本当に。。。よく思い切ったものです
空無さまには、心からの感謝を!!



2008/03/20 UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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