君がいればいい
他には何もいらない
君でなければ
何の意味もないんだ
† † † †
また今日も逢えなかった。
いくら実行委員だって。
例えそれを自分が選んでいたとしても。
(…つらい)
学園祭は明日に迫っていた。
こんなに感傷に更ける暇はない。
本当は。
(三蔵はつらくないのかな)
逢えなくて。
寂しくて。
電話で話していても足りない。
(明日で終わるし)
後夜祭くらいは一緒にいられないかと、淡い期待を抱く。
(メールしておこう)
明日は、一緒にいたい。
少しでもいいから。
彼でなければ、意味がない。
将来的にこの状態が正しいかは問題じゃない。
大切なのは、今だ。
『明日の後夜祭、一緒にいたい』
したいからする。
いたいからいる。
何もかもが、自分で選んだこと。
『18時屋上』
返事はたったそれだけ。
でも、伝わる想い。
(同じだ)
いつまで一緒にいられるかわからない。
けれど、いつまでも一緒にいられたら。
同じ想いで一緒にいられたら。
――それだけで天にも昇る気持ち。
『好きだよ』
伝えたくて。
わかってほしくて。
「知ってる」
返事は背後から。
振り返ると、ほんの少し照れ臭そうな、彼の姿。
(きっと他の人にはわからない)
自分だけが知っている。
なんという幸せ。
そっと、手を繋いでみる。
伝わる熱。
伝わる想い。
もっと伝えたくて。
背伸びを、する。
微かな、羽根の温もり。
「明日、楽しみだね」
「…ああ」
彼がいい。
どんなに楽しいことも。
どんなにつらいことも。
彼でなければ、意味がないんだ。
きっとこれは、今だけのものじゃない。
いつまでも続く。
夢のような現実。
【Fin.】
後書
これは、空無さまのサイトの3周年記念に寄稿させていただいたものですね。
中身が若々しい(笑)
懐かしい思い出のヒトコマです。
(注:これはフィクションです)
2007/01/03
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2008/03/20再UP
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