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Paradise



好きな人がいれば
どこでも楽園
そんなこと
誰が言い始めたんだろう
...馬鹿馬鹿しい




「三蔵って三蔵だよなぁ」
「どうしたんですか、いきなり」
「いくら想っても仕方がないってこと」


差し出されたコーヒーに口をつけながら続ける。
八戒は苦笑しながらそれを見つめる。


「嫌なんですか」
「別にそういうわけじゃないけど」


面倒だ、とぽつりと呟く。
いつの間にか関係を持つようになった。
好きだと言われたわけでもない。


「やめちゃおうかな」


たかだか身体だけの関係。
きっといつでも止められる、と高を括っていたのは始めだけ。
決定的な言葉もなくて。
心に傷を負うようになったのはいつからだろう。
頭を一つ振り、暗い考えを追い出す。


「ごちそうさま。ありがとう」
「またいつでもいらして下さい」
「サンキュ」


店を出た途端、ポケットに入れていた携帯電話が鳴り出す。
まるで、見ていたかのようなタイミング。
電話に出る前に、周囲を見渡す。
きっといるはず。
不機嫌そうな顔で。
でも綺麗な髪と瞳を持っている。
特別背が高いわけではないけれど。
でも、誰より大切な人。


(悔しいよなぁ)


「何してんの」


声をかける。
振り返らない背中。
さっさと車に乗れ、と言わんばかりに助手席のドアを開ける手。


(本当に、憎たらしい)


許したわけではない。
けれど、もう少しこのままでもいいのかもしれない。
それほど気が長い方ではなく。
いつでも外へ行けるのは自分なのだから。
薄く微笑み、車に乗り込む。


「一体いつから待ってたの、三蔵」


これくらいは許されるハズ。



楽園への地図。
楽園への鍵。
手にしているのは、誰?



《Fin.》



後書


これは、1100hitを踏まれた苺さんリクの話です。
リクエストは「乙女ではない、かっこいい悟空」だったのですが...失敗?
ご本人に伺ったところ、「こんなんじゃなぁい!」と、言われてしまいましたι
ごめんね、でも、結局アップしちゃったよ...。



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2008/03/20 再UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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