誰かを失うなんて
予想もつかない
呆気なく
突然訪れる


深紅に染まった視界。
感じたのは、喪失への不安と恐怖。
けれど、失いたくないと、泣き叫ぶには大人過ぎて。
それでも、近寄ることも出来ないほど子供過ぎて。
傍を、離れることしか出来なかった。


（愚かな）


誰よりも強くありたいと、願った結果が、これだと。
神も仏も存在しない。
介在することのない世界だと。


（強く、ありたかった）


視界に入るモノ。
入らないモノ。
全て護り切れるほど、強く、ただ、強くありたいと。


（馬鹿だ）


何も見ていなかった。
本当は、何も、視界には入っていなかった。
弱さを痛感する。
自分には、何もないと。
彼らは皆、自分の力で何かを成し遂げているのに。
自分の為に、力を奮えるのに。


（たった、これだけのことで）


彼を失うかもしれない。
ただ、それだけのことで。
こんなにも弱くなるなんて。


（あの頃と、違う）


あの時は、自分が深紅に塗れた。
あの時も、彼はその身を変えた。
あの時と違うのは、ただ、流された深紅の主。


（怖くて、逃げた）


相違ない。
真実がそれである以上。
自分は、強くあることなど、できない。


（悟空）


お前がいなければ、強さもわからず。
その在り処もわからず。


どうしようもなく、彼だけなのだと。
自分を生かすのが、彼だけなのだと、思い知る。
それは、良くない予感だった。


（いつか）


囁く声は、本心か。
それとも、幻聴か。


（いつかきっと、彼を失うだろう）


くだらないけれど。
真実。
せめて、目的を達するまでは。


（それが、今ではないことを知っている）


これは、別れじゃない。
二度と逢えないわけじゃない。
けれど、彼のまっすぐな目を、見ていられない。


（卑怯だ）


ただただ、逃げたいと。
あの金色の光から、自分の存在を消してしまいたいと。


（あの時）


差し伸べた手。
心は変わらない。


（だから今は、このまま）


いつか、添える日まで。



【Fin.】



後書


20000hitにどなたからもリクエストがなかったので
代理リクとして立候補されたのが苺さんでした
ありがとう！！
リクエストは、現在の雑誌の展開で、ちょっと情けない感じの三蔵。。。嘘です
現在の雑誌の展開で、三蔵ファンから見たらどうなのか、ということでリクエストを頂きました
ごめんね
まったく別人ちっくになってしまったよ。。。
なんだか弱々な感じなのは、多分私が今弱ってるから（笑）


ちなみにこれは、【花残】の『Fly to me』の三蔵Ver.
と思ってください
（あっちは悟空Ver.）
あぁ、楽しかったｖ



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2008/03/20　再UP



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