暖かくはないが冷たいというほどでもない生温い雨が、中途半端な強さで空気をゆるく湿らせていく日のような。
そんな日の昼下がりに、漂うコーヒーの香りと湯気のような。
そんなふうな恋だった。
世界中の全てに牙をむいて。
たった一つの欲しいもののために戦い続けてゆく。
そんな思いを恋というなら、これもまた恋だった。
考えたこともないぐらいに穏やかな。
許されていいのかもわからないぐらいに、....あるいは幸福な。
誰を忘れたわけでもなく。
誰を忘れるためでもないけれど。
静かに時をかけて。
いつしか生まれた恋だった。
なんの変哲もない白いマグカップを取り上げる。
何を言うでもするでもなく、気遣うというわけでもなく。
ただそこにいてくれる人へ問い掛けた。
「--コーヒーでも飲みますか?」
たったそれだけの恋だった。
【end】
※初頂き物は、苺さまからです♪
ありがとうぅ!o(> <)o
ちなみに本人いわく、この話は浄×八だそうです。
----
2008/03/19 再UP
Back