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†Voice†



着信を知らせる振動に、眉を顰める。
帰り支度をしていた手が止まる。
いつまでも止まない音に、それがメールではなく電話だと分かる。
表示されている名前は、今頃任務についているはずの、人。


「……はい」
?』
「どうしたんですか、先輩。今は護衛中だと伺いましたが」


名前を見ただけで、鼓動が跳ね上がる。
声を聴くと、倒れそうになる。
名前を呼ばれる度、泣きそうになる。
この感情を何と名付ければいいのだろう。


「まだ帰ってないんだな、と」
「……先輩」


声は、直接耳に届いた。
振り返ると、いつもの笑みを口の端に浮かべる、彼。


「報告書書きに戻られたんですか?」


告げると、はっ、と酸素を求めるように笑われた。
彼に笑われると、とても心細い気持ちになる。
なんとなく、自分はココにいてはいけないのではないかと。


「相変わらず、鈍いよな、と」
「どういう意味ですか」


時間など忘れた。
携帯電話もいつの間にか通話が切れている。


(あぁ、綺麗な紅)


、もう帰れ。遅いぞ、と」


すれ違い様、かけられた言葉。
仄かに漂う、鉛の匂い。


(これは、血の匂い)


タークスのスーツが黒なのは、返り血の色が目立たないようにする為だと、噂がある。


(きっと、それは正しい)


一礼をし、部屋を去る。
後には、彼だけを残して。



【Fin.】



後書


進展させようかさせまいか、さて、どうしましょう(笑)
どの二次小説を読んでも、レノは遊び人なんですよね
なので、これもすこーしだけ、遊んでみることにしました
あくまで夢、の上に一人称なので、彼の心情は短銃(女)からはわかりません
そのうち、レノの一人称も書いてみようかしら。。。なんて(苦笑)



よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いですv


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2009/01/01 UP


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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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