たぶん、あなたが思うよりも。
私自身が思うよりも。
ずっと、深く、遠いところで想っている。
あの日、そのことに気付かされた。
『悪かったな、と』
あの日から、あの出来事を忘れるかのように、任務が立て続きに入るようになった。
既に新人とは言えないほど実力を付けていたけれど。
それでも、実戦の経験に不安があると、ツォンさんにお願いして、誰かと一緒にいられるようにしてもらっていた。
先輩と、少しでも一緒にいたくて。
『先輩…?』
『、俺から離れろよ、と』
あれから、先輩は眼をあわせようとしない。
会話も必要最低限で。
軽いスキンシップさえ、ない。
(さみしい)
行為の意味を知らないわけじゃない。
傷ついていないわけじゃない。
けれど、あの時。
先輩の瞳が、何かを訴えかけていたようで。
そして、とても傷ついているように見えて。
(やさしくしたいとおもった)
「、どうした?」
「…ルード先輩」
ルード先輩なら、話せるだろうか。
わかってくれるだろうか。
(さみしい)
「あの…っ」
「……っ」
駆け寄ろうとした時、足元のなにかにぶつかって、バランスを崩す。
転ぶ、と思った瞬間、ルード先輩の暖かな腕が、体を支えてくれたことに気付いた。
「す、すみません…」
「いや、大丈夫か」
「はい」
大丈夫。
まだ、大丈夫。
「あ、あの、ルード先輩。聞きたいことがあるんですけど」
「なんだ」
「えっと、ここじゃちょっと…」
周囲を見渡すと、夕刻の大通り、立ち話をしていると誰が聞いているか分からない。
折りしもクリスマスも間近とあって、人通りも多い。
「この近くに、よく行く喫茶店があるんです。個室もあるし、そこでいいですか」
「あぁ」
歩みを進めて行くと、見覚えのある赤い色彩が視界に飛び込んできた。
冷たくて、優しくて、傷つきやすい、先輩。
あの時も、乱暴にしていて、私に触れる温もりは優しくて。
最後まで、優しくて。
「よぉ、」
こんな風に、冷めた目は、していなかったように、思う。
【Fin.】
後書
2ヶ月ぶりの更新がこれ…orz
痛くてすみません
しかも続いてますι
えっと、やっと6章ネタですよ!
台詞、確認しとかなくちゃι
よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いですv
web clap
2007/08/26 Wrote
2009/01/01 UP
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