聖夜も何も関係なく、タークスの任務は変わらない。
…先輩との距離も、変わらない。
任務の上では、いつもどおり。
けれど、ふとした拍子に、空気が凍り付くのをイヤでも感じる。
その度に、左手首の鎖が、戒めのようにも感じられて。
とても、切なくなる。
(レノ先輩…)
もう、心の中でしか伝えられない、想い。
付かず、離れず。
(…違う)
離れられない、だけ。
なんて弱い、自分の心。
素直で、醜い、想い。
あの瞳で見つめられる度、自分の存在が先輩の中で無ではないのだと確認できる。
それが嬉しくて、哀しくて。
(悪循環だわ)
「…先輩、本当にいいんですか?」
「相棒のことは把握しないとな、と」
(相棒って…ルードさん気の毒…)
店の隅、二人で身を潜め、声を潜め、存在を消す。
自分たちはタークスだから、気配を消すことくらい出来なくては仕事にならない。
そんなことを得意げに言いながら、ルード先輩の後をつけてきたのはつい先ほどのこと。
(声を出してたら…意味がない気がするけど)
ふ、と落ちた沈黙がなんとなく気まずくて。
目の前の赤を見つめていた。
例えば、いつか戦いが終わって。
この黒い制服から解放される日が来ても。
きっと、心はこの赤に縛られたまま、色あせることは、ない。
「…、?」
零れそうな涙を堪えて、何でもありません、と囁くことしか出来なかった。
――もし、この時に何かを告げていれば。
あの後後悔するようなことは、なかったんだろうか。
【to be continued...?】
後書代わりの戯言
大変にお待たせしてしまってすみませんι
ようやく、続きを持ってくることが出来ました
ここのところ、ずっと彼らの世界の中にいますので、とても書きやすかったです。
このままラストまで書ききることが出来ればな、と思っています。
(少なくとも、以前のように、一年以上お待たせすることはない、です…)
よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いですv
web clap
2009/04/25 Wrote
2009/04/25 UP
Back