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†Passion†



この想いが気付かれていなかったとは言わない
けれど、もう少し気付かない振りをしていてほしかった
左手首に絡まる細い鎖が、想いの分だけ、どこか重たい



久し振りの任務は、レノ先輩とペアを組んで、ある組織の内情調査を行うことだった。
極力銃は使用せず、ただ、情報の収集を行うこと。
やむなく戦闘になった場合でも、できるだけ殺さないようにすること。


「難しいですね」
「まぁな、と」


それでなくてもタークスの評判は悪い。
単なる調査を行うだけならば、血は流さないに越したことはない。
資料を片手に、ページを捲る。
小さな組織だけれど、武器商人としての信用度が高いことで有名で。
その質の高さから、神羅と直接取引をしているところだった。


「何か問題でもあったんですか?」
「さぁな。それをこれから調べるんだぞ、と」


それもそうだと思いなおし、資料を閉じる。
今日の先輩は、ロッドは持っていない。
その代わり、銃を持っていた。


『珍しいですね』
『そうか?』
『えぇ、初めて見ました』
『まぁ、ほどじゃないが、俺も銃くらい扱えるんだぞ、と』


そこで、先輩が自分を見ていたことを初めて知った。
もしかしたら、気付かれていたのかもしれないことも。


(大丈夫。まだ、何も言っていないもの)


緊張して赴いた割に、内情調査はあっけないほど早く終わった。
神羅が気にしていたことは、アバランチとの取引があるのではないかということだった。
けれど組織のボスは、そんなことはないと言い、私たちで全てのデータを調べることさえ許してくれた。


「あれは、ダミーだな、と」


進められるままにデータを移動し、持ち帰る途中。
先輩はそう呟いた。


(あっさりしすぎていた。却って、怪しい)


恐らくそういうことだろう。
けれど、ダミーとは言え、疎かにはできない。
必ずどこかに、ヒントはあるから。


「じゃあ、私はこれを持って帰って調べてみますね。先輩はどうしますか?」
「そうだな、と」


暫くの逡巡の後、私の肩を抱いた。
不意打ちに呆然としていると、耳元で囁く声。


「一緒に行こうかな、と」



【Fin.】



後書


セクハラレノさんの巻(笑)
可愛いなぁ。。。(え?)


ところで、この夢小説だけ、更新履歴には載せずに、
着々と更新されていることに気付いている人はいるのだろうか。。。



よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いですv


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2007/05/09 Wrote
2009/01/01 UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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