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†Pain†



いつか、伝えられればと思っていた。
でも、それがいつなのかはわからならかった。
彼はとても優しいから。
自分にも優しさをくれるから。
だから、哀しませたくなかった。


、大丈夫か」
「ツォンさん、大丈夫です。この間の組織ですよね」
「…あぁ」


資料分析の結果、やはりこの間の組織はアバランチと関わりがあることが判明して。
先輩たちが潜入して、組織を壊滅させたのが3日前のこと。
私はまだ新人だから、その任務には参加できなくて、今日はその後処理を行うという任務が別に与えられた。


「何か他の証拠があるかもしれない。だが、無理はするな」
「はい」
「ルードは別任務についているから…レノを連れて行くか」
「…はい」


顔を合わせるのは久し振りだった。
先輩は任務続きだったし。
私はできるだけ接触をしないようにしていたから。
けれど、それだけではないような気がしていた。
避けられているような。


(自業自得)


謝らなければならないとわかっていた。
けれど、何に対して謝ればいいのかわからなかった。


「…行くぞ、と」
「はい」


壊滅した組織の跡は、何も残っていなかった。
暫く探してみたものの、以前に渡されたフロッピーと、先輩たちが持ち帰ったデータ以上のものは何も出てこなかった。


「ツォンさんに報告して、戻った方がいいですよね」
「……」


沈黙が流れる。
怒って、いるのだろうか。
窓の外をじっと見つめる先輩に動きは、ない。


「あ、あの…レノ先輩」
「…なんだ、と」
「この間は、すみませんでした。私、レノ先輩に失礼なこと……っ」


失礼なことを言ったみたいですみません、と最後まで言えなかった。
背中に当たった硬い衝撃と、視界に広がる赤で、暫く呆然としてしまった。


「……っ」
、悪いな、と」


先輩の目が、とても、透き通っていて。
とても、綺麗で。
いつもどおり、優しい先輩の瞳で。
だから、背中に当たったのが組織のボスが使ってた机だったということも。
背中にあるということは押し倒されたのだということも。
先輩の左手が私の両手を頭の上で押さえつけていたことも。
その右手が私のスーツのファスナーにかかっていたことも。
気付くまでに暫くかかってしまった。


「…先輩っ、やめてください!!」
「おとなしくしてろよ、と」
「いやぁぁ…っ」


先輩を壊したのは、私なんだろうか。
あんなにも優しい先輩を傷付けて。
哀しくて、痛くて。
けれど、触れてもらえたことの方が嬉しくて。
涙が、止まらない。


「――っ」
「…っ…狭いな…、と。処女か」
「あ、あぁぁぁ…っ!」


身体を貫く痛みと、揺さぶられる感覚と。


(…すきです…)


心の中だけで呟いて、そのまま意識を闇に溶け込ませた。
、と何度も囁かれる声にこの上ない悦びを感じて。



【Fin.】



後書


軽くR指定…?
実はノーマルでここまで書いたのって初めてだったりします
…読者さん減ったらどうしよう(泣)
続きは早めに書けるようにしますっ
だって、6章ネタが…!



よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いですv


web clap



2007/06/17 Wrote
2009/01/01 UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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