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†Kiss & Cry†



あの人と、同じモノに触れる
心までは、伝わらないから


「おい、レノ。誤解するなよ」
「誤解? なにをだ、と」


冷たい瞳。
その色と同じ、透明な。
とても、傷ついている、色。


「レノ、は…」
「ルード先輩、いいんです」


これ以上の冷たさに耐えられなくて、口を開いた。
冷たいのは、心。
降り注ぐ雨以上に冷たい、心。


「先輩、もう、忘れてください」


二人に向けて告げて、歩みの方向を変える。
幸い、任務はもう無い。
この先にあるのは、慣れ親しんだ、スラム街だけ。
私の故郷。
生まれ育った場所。


「また、明日。お疲れ様でした」


振り返らず、声だけを雨に乗せて。
先輩には、聞こえていたのだろうか。


(もう、いい)


どれだけ言葉を尽くしても。
どれだけ心を捧げても。
多分先輩には届かない。
あの冷たい瞳が、全てを物語っているから。


(言わなくて、よかった)


ルード先輩に甘えなくてよかった。
レノ先輩に、告白をしなくてよかった。
もう近寄りません。
心を寄せません。


(先輩、貴方が望むように)


あれは、一時の夢。
いつまでも縋りつくわけにはいかない。
涙は雨に紛れ、誰にも気付かれない。
それでいい。
それが、いい。


(ごめんなさい…好きでした)


繰り返し心の中で呟いた告白。
雨に流されるように。
心の奥に、押し込んだ。



【Fin.】



後書


…おや?
なんだか終わりちっくなι
いえいえ、まだ終わりませんよ!
これでやっと、6章ネタに本格的に入ることができますもの!
(望んでいた形とはまったく違いますが・汗)


ということで、次回より(多分)【狂喜の月】が続くはずです
…えぇ、多分ι


っていうか、今更なんですけど、
これ、もはや夢小説って言わないですよね
すみません…orz



よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いですv


web clap



2007/08/28 Wrote
2007/09/09 UP
2009/01/01 再UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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