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§抒情詩§



ネガイゴト、なんて、忘れてしまった


感じた温もりは、手離すには惜しいもので。
けれど、涙が。
彼女の涙が。


「…
「…っく…」


初めて、だったのだろう。
机の上には、鮮やかな真紅が広がっていた。
それは、3日前の鮮血を思い出させる。
今、部屋中に散らばる紅は既に乾いていたけれど。
彼女の真紅を帯びて、一層鮮やかに蘇りを見せた。





呼びかけても、涙が零れるばかりで。
それがまるで、言葉の代わりのようで。
どれほどの痛みを耐えていたのか。
けれど彼女は一度も、拒絶の声を上げなかった。





そっと、口付ける。
涙に濡れた頬に。
震えて色を変えた唇に。
優しく、抱き締める。


「…んぱい…」


嗚咽交じりの呼びかけに、再び熱を帯びるのをはっきりと自覚した。
まだ、彼女の中に納められている、熱。
これほど、欲していたのかと。
どれだけ、望んでいたのかと。
気が遠くなる。


(たった一言だったな、と)


先輩、と。
ただ、それだけだった。
いつもと同じ呼びかけに。
我慢ができなくなったのは、自分が愚かなせいだ。


、悪いな、と』


せめて、少しでも痛みを意識しないようにと。
快楽の糸を手繰り寄せる。
少しずつ、すこしずつ。


そうして、壊れていく。
壊して、しまう。


「…ん、あぁ…っ」
「…っ、、イイ、のか、と」
「いやぁぁ…っ」


艶めいた声。
相反する叫び。
今まで幾らだって耳にしてきたモノ。
けれど、彼女だと伝わるモノが違うのは、何故だろう。


(悪いな、と)


もう一度、心の中で呟いて。
左手首の銀の煌きに口付けて。
そうして、彼女の中で、果てた。



【Fin.】



後書


予想と外れたところを書いてしまいました…orz
いやん、なんて内容…(遠い目)
おかしいなぁ…
予定では、例の場面は回想するはずだったのです、がι
べ、別に、私はR指定物書きではないですよぉ〜…(必死)



よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いですv


web clap



2007/09/01 Wrote
2007/09/09 UP
2009/01/01 再UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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