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†Hurricane†



嵐のように
消えない傷を
心と身体に刻む


数度目の口付けの理由を何も言わず。
先輩はただ、黙って立っていた。
私の、目の前で。
差し出された銀の細い鎖を手に。


「それ、どこにあったんですか」


細く囁く声。
きっと、届くだろう。
これほどの距離ならば。


「この間の時に、留め金が切れたようだからな、と」
「この間…」


それは、あの雨の日だろうか。
それよりも前の、あの日のことだろうか。
手首に淋しさを覚えたのは、あの日以来だから。
きっと、あのことを言っているのだろうけれど。


「ありがとうございます。ずっと、探していたんです」


努力をして、微笑む。
うまく、笑みを浮かべられているだろうか。
受け取ろうとした手を、避けられた。


「先輩?」
「一人じゃ留められないだろ、と」


腕を出せ、と暗に告げられる。
優しいのか。
それとも、意地悪なのか。


「ありがとうございます」


これは優しさだと思うことにする。
言われるままに手を差し出す。


(この感触、久し振り)


シャラ、と細い音を立てて、やっとあの重さが戻ってくる。
石も、欠けているところはないようで。


(……?)


違和感を、覚える。
石をじっと見つめていると、中心部に仄かに、明滅する、朱。
それは、以前には無かった光で。
明らかに、人工的なソレで。l


「どうした、と」
「いえ、別に」


きっと、気のせいだろう。
まさか、先輩がくれたものに。


(仕掛け、なんて)


「じゃあな。早く帰れよ、と」
「…はい、ありがとうございます」


だから、何も気付かなかったのだ。
先輩が、どんな表情を浮かべていたか、なんて。
そしてそのことを、私は後々、思い返すことになる。
苦い後悔とともに。



【Fin.】



後書


少しは、早くなりましたよね、更新が(苦笑)
そろそろ、進展させようかなぁ、と思ったところ、このような展開にι
おかしい、ですねぇ…


あ、あらかじめ言いますと、私は主人公が大好きです
そして、レノも大好きです
大好きなので、ちゃんと幸せにしてあげたいと、思っています
なので、安心して読んでいってくださいね♪



よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いですv


web clap



2007/11/18 Wrote
2007/11/18 UP
2009/01/01 再UP



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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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