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†Addicted To You†



くるしいから
もうみたくないから
だから、オフにする


窓の外には、曇り空が広がっている。
今にも雨が降りそうな、それでいて降らない、天気。


(こういうのを、泣き出しそうな空って表現するんだろうな)





ぼんやりしていると、声をかけられた。
振り返ると、ほんの少し、眉を顰めたツォンさんが立っている。


「はい、ツォンさん」
「携帯電話は常備するようにと言っているはずだが」
「…しています」
「なら、なぜ出ない」


タークスは、随時連絡が義務で。
その為に支給された携帯電話は常備携帯が義務で。
もちろん、私も常備していた。
けれど常備するだけで。
どれだけ着信があっても。
どれだけメールを受けても。
この3日間、応答はまったくしていなかった。


「申し訳ありません」
「…次からは気をつけるように」
「はい」


なんとなく、体が重たい。
心が、重たい。


(着信履歴が10件、メールが20件)


久し振りに携帯電話を手に取る。
左手で支えると、嫌でも白い手首が視界に入るから、右手で。


(どこで、なくしたのかな)


大事にしていたのに。
せっかく先輩から貰った、のに。
もう、それしか、ないのに。
溜息が漏れる。
何も、する気にならない。


(ツォンさんと、ルード先輩だけだ)


留守番電話を確認してみる。
用件は任務の経過報告を求める内容で。
いつもの私なら、そんなメッセージ、貰うはずがなかった。


(おかしいなぁ)


こんなにも、弱い人間だっただろうか。
支えがなくなることが、こんなにも恐いと思うような人間だっただろうか。


「……っ」


涙が止まらない。
心が、囚われすぎているから。



【Fin.】



後書


オフにする、というのは、携帯電話をオフにする、という意味と
想いをオフにする、という意味と、二重の意味をかけたつもりです


。。。主人公。。。泣いてばかりですねぇ。。。ι



よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いですv


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2007/09/09 Wrote
2007/09/14 UP
2009/01/01 再UP


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7-mori eyelid (©) Midori Yuki
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